平成29年度法人税の税制改正
平成29年度税制改正においては、ここ数年続く成長志向型の法人税改革の流れを引き継ぎ、税率の引き下げと課税ベースの拡大が実施されてきたがさらなる改革のスピード感を感じさせる内容となっています。
攻めの投資から賃上対策も
平成29年度の法人税の税制改正の特徴を端的に述べると、攻めの投資、企業統治の強化、経営革新、賃上げの実現といったところに重点が置かれているように感じられます。また、大企業のみならず、各地域や中小企業等への支援への配慮も見受けられる内容です。
攻めの投資という観点から見ると、特に、IoT、ビッグデータ、AI(人工知能)など最近トピックとして取り上げられることが多い分野が研究開発促進税制の試験研究の範囲に追加されていることは特筆に値すると言えます。
投資の増減に応じて控除率にメリハリをきかせていることなど、制度運用面での配慮が感じられる内容として仕上がっていると言えますし、アベノミクス成長戦略をより色濃く表出されたのが所得拡大促進税制の見直しであろう。前年度より2%以上賃上げを実施した企業への支援が手厚くなっています。
この2%と言えば、平成28年の賃上げ率に相当するため、さらなる労働者の賃上げ誘導する狙いがうかがえる内容ともいえるでしょう。
地域未来投資促進税制
地域未来投資促進税制も創設され、地方で地域経済を牽引するような事業に対して、設備投資に対する税制措置や財政金融両面からの支援措置、規制の特例措置といった優遇を受けられるようになっています。
当税制の適用にあたっては、市町村・都道府県にまたがる各種手続きを踏まなければならないが、適用企業には相応のメリットがあると考えられます。
なお、その他、地方経済、中堅、中小事業者向けの内容面については、地域中核企業向け設備投資促進税制の他、中小企業経営強化税制(生産性向上設備投資促進税制の廃止等に伴う中小企業投資促進税制の上乗せ措置延長措置の改組)など目まぐるしく税制の調整が行われいることが感じとれます。
アベノミクスの波及効果も期待
上記のとおり、いわゆるアベノミクス効果をあまり受けていないと言われる、中小企業、労働者、地方にもその恩恵がいきわたるように配慮された税制内容となっていることが感じられます。
アベノミクス効果を広く各地域、そして中堅・中小企業、そして労働者へ波及させる意欲が見てとれます。さらに、今後の法人税改革の流れを読む上でも、今年度の税制改正内容は今後の税制が進む一定の方向性として上述した流れが見てとれる内容であったのではないかと考えられます。