取締役の役員報酬のルールとは
会社設立後、取締役の報酬は一定期間変更するこができないことはご存知でしょうか。ただ、事業の状況などによっては、報酬を払えないケースも生じるかもしれませんね。
起業家の方々の中には、「どうしても報酬を下げざるを得ない場合どうしたら良いか?」と不安にかられるかもしれません。
今回の会社設立に関する投稿記事では、そのような不安を少しでも解消できるよう、役員報酬の臨時改定をテーマに簡単に役員報酬の変更について説明していきたいと思います。
やむを得ない時の役員給与の変更とは
法人税法では、取締役の給与変更について、特別に厳しい規定があります。税務上の言葉で言うと、役員報酬として損金算入ができる金額、時期などは制限されていると言います。
法人税では、「定期同額給与」「事前確定届出給与」は、定時株主総会において「あらかじめ支給時期・支給額が定められているもの」に基づき支払われるということになります。通常の従業員のお給料とは取扱いが異なる点に要注意です。
ただ、役員の給与を株主総会で事前に決めておいたとしても、経営状況によっては支払ができなくなる可能性もあります。
そのまま役員報酬を支払っていてはにっちもさっちも行かない、そのような時は、下記の「臨時改定事由」「業績悪化改定事由」による改定・変更が認められています。
臨時改定で準備すべきこと
「臨時改定事由」とは、次の1.や2.に類する役員給与を変更せざるを得ないやむを得ない事情をいいます。
- 役員の職制上の地位の変更
- 役員の職務の重大な変更
1.のケースでは取締役の分掌変更があった場合です。例えば、代表取締役が任期途中で退任したことにより常務取締役が昇格して就任した場合などが挙げられます。
この「役員の職制上の地位」とは定款や総会決議等により付与されたものをいい、自称役員などは該当しませんので注意が必要です。
2.は組織再編成があった場合などが該当します。例えば、合併法人の取締役で、その職務内容に大幅な変更がある場合などになります。
会社内で不祥事が会った場合、役員給与を一定期間減額するケースも、社会通念上相当であれば、定期同額給与の減額改定・増額改定とも臨時改定事由に当たるとされています。
業績悪化時に変更する場合
「業績悪化改定事由」とは、その事業年度において会社の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する事由をいいます(減額改定のみ)。財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことのほか、次のような場合が該当します。
- 株主との関係上、業績悪化等について経営上の責任を問われ減額した場合
- 取引銀行との借入金返済のリスケジュール協議で要請され減額した場合
- 経営悪化の状況下で取引先等からの信用確保のため、経営改善計画が策定され、役員給与減額が盛り込まれた場合
上記の状況では、会社の経営上、役員給与をどうしても減額せざるを得ない客観的な事情があるかどうかにより判定します。
いかがでしたでしょうか。会社設立後には様々な規制にさらされます。今回は役員報酬をテーマに取り上げましたが、会社設立時には、会社法などの様々な規制にもご注意下さい。
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