意外に難しい給与計算
会社を設立して意外と大変な経理業務の一つに、「給与計算」があります。
今回の記事では、初めて給与計算をする人を対象に、平たく給与計算の基礎知識を解説します。
給与計算の基礎知識
従業員への給与支給では、働いた分の給与額面全額をそのまま渡すといったことではありません。給与額面から、所得税・住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料については、事業者が給与から天引き(控除)して支給すること求められます。
このため、給与計算は様々な制度が入り組むことになり意外に難しいと言えます。これらの控除する内容や制度をしっかり把握しておかないと、給与計算を間違えてしまう可能性もありますので注意が必要です。
給与計算は社長も対象
給与計算の対象は、個人事業主の場合には従業員となります。ただし、法人の場合には社長の役員報酬も給与計算の対象とすることになりますので注意が必要です。
なぜならば、会社社長(役員)は、社会保険に加入する義務がありますので、給与からこれらの社会保険や源泉所得税を天引きする必要があるからです。(ただし、役員の場合原則として雇用保険は対象外となります。)
※ 法人の役員報酬等、詳細は法人と個人事業の違いを参照ください。
給与計算の大まかな流れ(例)
給与計算の大まかな流れは下図のようになります。あくまで25日支給の簡単な事例としております。当然ですが、支給日が10日、15日の場合もございます。
「① 給与計算情報の収集」とは、従業員の扶養家族や通勤費計算のための住所、通勤経路、休みはないかなどの勤怠情報などの情報を事前にしっかり把握・管理しておくということです。
そして、「② 支給額・控除額の確定」で、実際に上述した所得税、社会保険料、雇用保険料などを計算していきます。
その後、給与支給日に銀行振込等で実際に従業員へ給与のお支払いをいたします。
社会保険料と源泉所得税
そして、天引きした社会保険料や源泉所得税はどのようになるかについて説明します。はじめに社会保険料ですが、一般的には「翌月徴収・翌月納付」になります。
例えば、9月分の保険料の納付は、10月支給の給与から徴収し、10月末日までに納付することになります。
さらに、源泉所得税については、原則として、給与を支払月の翌月10日までに納付しなければなりません。(源泉所得税の詳しい説明・国税庁)
ただし、給与の支給人員が常時9人以下の場合には、源泉徴収した所得税等を、半年分まとめて納めることができるケースがあります。これを納期の特例といい、予め税務署に申請を出しておくことが必要です。
給与計算の結果は、年末調整でも使用しますので、間違えないように注意して計算しましょう。